【質問1】著作権が発生する生成AIのプロンプト(指示文)とはどのようなものですか?

【回答】著作権が発生する可能性のある生成AIのプロンプトは、単にAIに指示を与えるだけでなく、創作的な表現やアイデアを具体的に指示し、その指示に基づいてAIが著作物と認められるような成果物を生成した場合です。

具体的には、以下のような要素が含まれるプロンプトが該当する可能性があります。

1)具体的な登場人物やキャラクターの設定

名前、外見、性格、背景などを詳細に指定し、既存のキャラクターに類似しないオリジナルのキャラクターを生成するように指示する場合

2)詳細なストーリーやプロットの指示

起承転結のある物語の展開、具体的なシーン、会話の内容などを指示する場合

3)特定の文体や表現方法の指示

有名な作家の文体を模倣するよう指示したり、独特の言い回しやリズムを指定したりする場合

4)オリジナルのアイデアやコンセプトの指示

これまでにない斬新なアイデアやコンセプトに基づいたイラスト、音楽、文章などの生成を指示する場合

5)既存の著作物からの明確な要素の排除指示

既存の特定の著作物に似せないように、意図的に要素を排除するよう指示する場合

これは、著作権侵害のリスクを減らすための対策ですが、プロンプト自体が創作的であれば著作権が発生する可能性はあります。

【まとめ】重要なのは、プロンプトが単なるキーワードの羅列ではなく、具体的な創作意図に基づいた表現を含んでいるかどうかです。

以下のようなプロンプトは著作権が発生する可能性が低いと考えられます。

「猫の画像」
「明るい雰囲気の音楽」
「日本の歴史に関する文章」

以下のようなプロンプトは著作権が発生する可能性があります。

「瞳がオッドアイで、片方の耳が少し欠けた、三毛猫の女の子のキャラクター。名前は『ミィ』で、いつも首に赤いリボンをつけている、優しい性格のイラスト」
「19世紀末のパリを舞台にした、孤独な画家の苦悩と情熱を描いた短編小説。ゴッホの絵画のような色彩で描写すること」
「未来都市の夜景をバックに、サイバーパンク風の衣装を着たアンドロイドが物憂げに佇んでいる、鮮やかで退廃的な雰囲気のイラスト」

ただし、現時点では、生成AIのプロンプトに対する著作権の扱いは法的に明確に確立されていません。

今後の法的解釈や判例によって、この考え方は変わる可能性があります。

生成AIを利用する際には、生成された成果物だけでなく、プロンプト自体が第三者の著作権を侵害していないか、そして自身のプロンプトに著作権が発生する可能性があるのかどうかについても留意することが重要です。

 

【質問2】生成AIで作成したものに対して,生成AI側にも著作権が発生するのはどのような場合ですか?

【回答】著作権法における著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています。この定義から考えると、AI自体は思想や感情を持たないため、AIが単独で生成した成果物には著作権は発生しないと一般的に解釈されています。

しかし、以下のような場合には、生成AIの成果物に対して著作権が発生する可能性が議論されています。

1)AIが生成する過程で、人間の創作的な関与が認められる場合

非常に詳細で具体的なプロンプトの作成: 単なるキーワードの羅列ではなく、登場人物の設定、ストーリー展開、表現方法などを詳細に指示し、その指示に沿ってAIが創作的な成果物を生成した場合

このプロンプト自体が創作的な表現として著作物と認められる可能性があります。

生成された成果物の大幅な修正・加筆: AIが生成したものをそのまま利用するのではなく、人間がさらに手を加え、独自の創作性を付与した場合。この修正・加筆された部分に人間の著作権が発生する可能性があります。

複数の生成物の選択・構成: AIによって生成された複数の成果物の中から、人間の創意工夫によって選択・構成し、新たな著作物を創作した場合

この選択・構成という行為に人間の著作権が発生する可能性があります。

2)AIの開発者や提供者が利用規約等で権利を主張する場合:

生成AIの利用規約において、生成された成果物の権利はAIの開発者や提供者に帰属すると定められている場合があります。これは著作権法上の権利とは異なる契約上の取り決めですが、利用者はこの規約に従う必要があります。

現時点では、生成AIが生成した成果物に対する著作権の扱いは、法的にまだ明確に確立されていません。特に、AIの自律性が高い場合に、どこまで人間の創作的関与があったと認められるのかは難しい判断となります。

【まとめ】重要なポイントは、AIが「道具」として利用され、人間の創作的な意図や表現が色濃く反映されている場合に、著作権が発生する可能性があるということです。

 AIが単に指示に従って自動的に生成しただけの成果物には、著作権は発生しないと考えられています。
今後の技術発展や法的解釈の進展によって、生成AIと著作権の関係はさらに変化していく可能性があります。

 

【質問3】生成AIで作成したものに,生成AIを提供する側にも著作権が発生するのはどのような場合ですか?

【回答】以下のような場合には、生成AIを提供する側が何らかの権利を持つ可能性や、利用規約によって権利を主張する場合があります。

生成AIのアルゴリズムや学習済みモデル: 生成AIを開発するために独自のアルゴリズムを開発したり、独自のデータセットを構築・学習させたりした場合、そのアルゴリズムや学習済みモデル自体は、プログラムの著作物として著作権法で保護される可能性があります。

この場合、生成された個々の成果物に対する権利ではなく、AIの基盤技術に対する権利となります。

利用規約による権利の主張: 生成AIのサービス提供者は、利用規約において、生成された成果物の利用範囲や権利の帰属について独自のルールを定めている場合があります。

例えば、商用利用の制限、生成物の公開に関する条件、サービス提供者による利用許諾などが規定されることがあります。

これは著作権法上の権利とは異なる契約上の取り決めですが、利用者はこの規約に同意することで拘束されます。

生成AIのインターフェースや付随機能: 生成AIのWebサイトのデザイン、操作画面、ヘルプドキュメント、APIなどのインターフェースや、生成された成果物を編集・加工するための付随機能などは、個別の著作物として著作権が発生する可能性があります。

【まとめ】重要なのは、生成AIが生成した成果物そのものに対する著作権は原則として発生しないものの、それを実現するための技術(アルゴリズムや学習モデル)や、サービス提供者が定める利用規約によって、提供側が何らかの権利や利用上の制約を持つ可能性があるということです。

生成AIを利用する際には、生成された成果物の著作権だけでなく、サービス提供者の利用規約を注意深く確認し、自身の利用目的や方法が規約に違反しないかを確認することが重要です。

 

【問題4】ある人が生成AIで語学用の読解問題を作成し,WEB上で公開した場合,問題作成者に著作権は発生しますか?

【回答】問題作成者(その人)に著作権が発生する可能性が高いと考えられます。 理由は以下の通りです。

1)創作性の介在

単に既存の文章をAIに読み込ませて問題を生成させるだけでなく、問題の意図、出題形式、選択肢の作成、正解の選定、解説の作成など、問題作成者の独自のアイデアや工夫、知識、経験が反映されていると考えられます。

これらの創作的な要素が認められれば、読解問題全体として著作物性が認められる可能性があります。

2)編集著作物としての可能性

複数の文章や情報をAIを用いて取捨選択・配置し、読解問題という新たな著作物を構成した場合、編集著作物として著作権が発生する可能性があります。

この場合、元の文章自体には著作権があったとしても、問題作成者の編集行為によって新たな著作権が生じます。

3)二次的著作物の可能性

もしAIが既存の著作物をベースに問題を生成した場合でも、問題作成者がその生成物を大幅に改変・翻案し、新たな創作性を加えることで、二次的著作物としての著作権が発生する可能性があります。

この場合は元の著作権者の権利にも配慮が必要です。

以下のようなケースでは著作権の発生が否定される、または限定的になる可能性があります。

1)極めて単純な問題生成

問題の形式や内容が非常に一般的で、問題作成者の創作性がほとんど認められない場合

2)既存の著作物の単純な焼き直し

AIが既存の著作物をほとんどそのまま利用して問題を生成し、問題作成者が手を加えていない場合

【まとめ】生成AIをあくまで道具として利用し、問題作成者自身のアイデアや工夫を加えて語学用の読解問題を作成し、WEB上で公開した場合、その問題には問題作成者の著作権が発生する可能性が高いと言えます。

公開する際には、自身の著作権を明示するとともに、利用規約などを定めることで、権利保護に繋がります。

AIが既存の著作物を学習データとして利用している可能性も考慮し、著作権侵害のリスクがないかにも注意を払うことが重要です。

 

【質問5】生成AIで語学用の読解問題を作成し,WEB上で公開した場合,問題作成者に著作権は発生しますか?

【回答】 一般公開されているデータベースや過去問題を使って生成AIで語学用の読解問題を作成し、WEB上で公開した場合でも、問題作成者に著作権が発生する可能性はあります。

ただし、その度合いは、問題作成者がどれだけ独自の創作性を加えたかによって大きく左右されます。

著作権が発生する可能性が高いケース

1)問題の構成や選択肢の作成に独自の工夫が見られる場合

単にデータベースや過去問題から文章を抜き出すだけでなく、問題の意図に合わせて文章の一部を改変したり、ひっかけとなるような選択肢を独自に作成したりした場合。

2)複数の情報源を組み合わせ、新たな視点や解釈を加えた問題を作成した場合

異なるデータベースや過去問題から情報を統合し、AIを活用して独自の読解問題として再構成した場合

3)解説や解答に独自の分析や考察を加えている場合

AIが生成した解説をそのまま公開するのではなく、問題作成者自身の知識や経験に基づいて、より深く理解を促すような解説を加えている場合

4)問題全体として、問題作成者の独自の教育的な意図や思想が反映されている場合

単なる練習問題の寄せ集めではなく、特定の学習目標やレベルに合わせた問題構成になっている場合。

著作権が発生する可能性が低いケース

1)データベースや過去問題の内容をほとんどそのままAIに生成させた場合

2)問題文、選択肢、解答などが元のデータとほとんど変わらず、問題作成者の創作的な関与が少ない場合

元のデータベースや過去問題の著作権(もしあれば)を侵害する可能性もあります。

3)AIが自動的に生成したものをほとんど手を加えずに公開した場合

4)問題作成者が内容を精査せず、AIの出力をそのまま公開している場合

5)問題の形式や出題方法が非常に一般的で、誰でも思いつくようなアイデアに基づいている場合

6)読解問題の基本的な形式を踏襲しているだけで、特に目新しい工夫がない場合

注意点

1)元のデータベースや過去問題の利用規約

一般公開されているデータベースや過去問題であっても、利用規約で使用範囲や著作権の扱いが定められている場合があります。

これに違反すると、著作権侵害となる可能性があります。

利用規約を必ず確認し、遵守する必要があります。

2)元の著作物に著作権が残っている場合

過去問題の中には、著作権の保護期間が満了していない著作物が含まれている可能性があります。その場合、無断で複製・改変することは著作権侵害にあたる可能性があります。

3)AIの生成過程における著作権侵害のリスク

AIが学習データとして著作物を利用している場合、生成された問題が既存の著作物に類似してしまう可能性があります。
意図せず著作権を侵害してしまうリスクも考慮する必要があります。

【まとめ】一般公開されているデータベースや過去問題を利用した場合でも、問題作成者が独自の創作性を加えて読解問題を作成すれば、著作権が発生する可能性はあります。

しかし、元のデータの利用規約や著作権の状況、そして自身の創作性の程度を十分に考慮する必要があります。

公開する際には、利用規約の遵守と、自身の創作性を明確にすることが重要です。

不安な場合は、専門家(弁護士など)に相談することです。